飛行艇/King Gnu[レビュー]

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2019年はKing Gnuの年だったといっても過言ではないと思う。

 

人気絶頂の中、満を持して彼らが発表した3rdアルバム。

『CEREMONY』のB面冒頭を飾るのがこの曲である。

 

『白日』もそうであったが、この『飛行艇』のような曲をポップスの文脈に載せる彼らのセンスにはただただ驚くばかりである。

 

遅いテンポかつ四つ打ちのバスドラム。クイーンのあの曲がふと思い浮かぶ。

 

このテンポで四つ打ちのバスドラムの曲と言われて、私はすぐに例を挙げることが出来ない。が、聴き込んでいくと四つ打ちにある種のトランスミュージックのような効果があることに気づいた。

 

冒頭のドライブの効いたギターリフ、男くさい常田のボーカル。そして、サビで「開放」があるのかと思いきや、高揚感はひたすらに貯めこまれていく。

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トランスの四つ打ちビートというものには、興奮を貯めこむ作用がある。そして、ブレイクによって高揚感は濃縮され、限界まで詰めきったところで開放される。法悦やエクスタシーと結び付けられる感覚だ。サイケやゴアの核もここにあると思う。

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さて、話を『飛行艇』に戻そう。といっても、言いたいことは同じである。最後の大サビに向けて、心臓の拍動が如きテンポにより高揚感が濃縮されていく。

 

PVを見ると「繰り返し」が意識されているのが良くわかるのでないだろうか。なにやら赤く靄のかかった世界に包まれて、フラストレーションが、想いが濃縮されていく。。。

 

 

今改めてライブ映像を見てみた。

 

少し私の認識とは違う。これはミサだ。この曲がANAだかのタイアップになったのか。

 

自分たちの深いバックグラウンドを流行りの文脈に載せ、妥協をしない。同年代の彼らがやっている音楽が、私には酷く眩しい。