The Crippled God // Deadhouse 感想

白黒ジャケット

 

dungeonsdeep.com

 

ドイツのダンジョンシンセ作家、The Crippled Godによる2021年作

 

レーベルはDungeons Deep Records

 

Deadhouseってたまに見るけど何か知らないので調べてみた。

教会や墓の近くにある死体置き場?的なものだそうな。

なんでもDeadhouse's Gatesなるカナダ産ファンタジー小説をもとにしているらしい。

当然未読である。

 

レーベルの説明文っぽいものを以下に

Deadhouse is subtle in its serene melancholy. The album progresses gently, and despite the beautifully haunting cover art is very soothing in execution. Set the cassette deck to loop mode for this one and hypnotize yourself for the evening.

 

以下雑翻訳(全く自信はない

Deadhouseは繊細さのなかに静謐なメランコリーがあります。

このアルバムは穏やかに進行し、それでいて美しく心に残るジャケットアートでありながら、その演奏は我々を非常に穏やかにさせてくれます。

カセットデッキをループモードにしてこのテープをセットし、この夜、自分を催眠術に掛けましょう。

 

全体の感想

説明文通り穏やかで寂しい曲調なのだけど、それを6曲並べて、しかも要素自体は殆ど変えずにアルバムとして流れを作ってるのが素晴らしい。

2曲目だけダンジョンシンセみが強いが、それがフックとして非常に適切で、そこを曲調のテンションとしては最高点にしつつ、アンビエント的には後半へ向けて少しずつメランコリーを積み上げていく。対比というか構成の妙である。

テープで聴くと少し音が丸くなることもあり、癒し効果は高い。おすすめ。

 

以下各曲雑感想

 

1.Into the Deadhouse

鳥の囀りから始まるイントロ

1m50secほどの曲だが、中盤からのドローンや高音のシンセの神秘的な音階で気分が高まる。

 

2.The Chain of Dogs

冒頭のピアノがよい。寂寥感。

2分ごろからのシンセリードはダンジョンシンセというよりはブラックメタル系のアンビエント曲のエッセンスを感じる。

5分半ごろからダンジョンシンセ特有の戦闘BGM/RPGのある急な場面転換が。

そのまま展開させていくのかと思いきや7分半辺りで〆のピアノに。

良い曲だが展開が多くて眠れる感じではないのでは?(無粋

 

3.Whirlwind

アルペジオっぽいシンセが主体のアンビエント曲。

ダンジョンシンセによくある太鼓やダークアンビエント系の音遣いの良いところ取りだ。

 

4.Light Torch

こちらもほんの少しだけそれっぽいスケールを使ったピアノ曲

落ち着く。後ろに流れているシンセストリングス的なコードが良いですね。

 

5.Ascendancy

11分、一番の大曲。

ダークアンビエント感のあるドローンとシンセリード。少しスペーシーにも感じる。

3分半ごろから旋法みのあるメロディーに。

4分50秒あたりからそのメロディーを引き継ぎつつ、雨のような音が後ろに広がる。

2曲目のダンジョンシンセ的場面転換に備える構えだったので意表を突かれた。

後ろで鳴るシンセストリングス的な高音がしみじみと切なくてよい寂しさ。

 

6.Deadhouse Gates

最後にデッドハウスの門ってことはいったん入ってその後出たということだろうか?

環境音にピアノにシンセに今までの要素が全乗り、それでいて穏やか。上手いですね。